薪となる木材資源に溢れ、人口密度も低いフィンランド。
もしも「国民一人当たり年間焚き火回数」のような統計があったら、世界ランク1位もあるかもしれません。
僕が森の話をするときは、アウトドア派のバイアスがどうしてもかかりますが、それにしてもフィンランド人は、全員自分で火をおこすスキルを持ち合わせているんじゃないかな。
BBQが常に遊びの選択肢に入ってくる
僕の住む Joensuu が田舎街だというのがさらに後押ししますが、フィンランドは本当に「焚き火インフラ」が整っている国です。
一軒家の家庭や平屋の集合住宅には多くの場合暖炉があり、アパートが並ぶエリアには何軒かの間に1つ以上は必ず野外にBBQ用のかまどがあります。

ここには都会のおしゃれな遊びはそう多くありませんが、広々として環境も整っている為、手を使った有機的な遊びは無限に生み出すことができます。
寒すぎる真冬はさすがに無理ですが、それ以外のシーズンなら「週末何しようか」となった際、常にBBQのカードが手札にあります。
「仲間とご飯を一緒に(作って)食べる」
(と、酒を飲む)
やっぱりこれに勝る楽しみはないでしょう。
これぞ焚き火天国、フィンランドの森
公園として整備されているフィンランドの森には、本当にこれでもかという程の焚き火台が点在しています。
フィンランドには、Metsähallitusという自然保護区域のマネジメントを一括して行う国営企業があり、場所によりけりですが、多くの森林公園には、無料で使える薪が小屋に用意されています。
薪がない場所には、多くの人々は家から薪を持って行き、家に薪を切らしている場合でも、スーパーに焚き火関連の品が豊富に揃っているので、簡単に炭や着火剤が手に入ります。
フィンランドに来てから普通のフィンランド人よりも焚き火をしている(?)僕にとって、Metsähallitusは本当にヒーローのような存在です。
焚き火台や薪の使用はもちろん無料。また、必ずそばにゴミ箱があり、おまけに清掃の行き届いたログハウストイレまで完備しています。
つまり、森に食べ物だけ持っていけば、他の心配は何もいらずに、無料で手軽にバーベキューができるのです。
準備や片付けがここまで簡単だったら、BBQしたくない人なんていないんじゃないでしょうか。

焚き火台のそばに無料小屋がついているパターンもあります。
また、森の中は基本的にどこでも無許可で寝泊まりがOKな為、テントと寝袋さえ持っていけば、どこでも夜を明かすことができます。

冬季期間に主に使用される有料のコテージでは、室内で暖が取れます。
こちらもMetsähallitusが管理しており、事前に予約してお金を支払い、入り口の鍵をもらう仕組みです。
大きさや内部の設備ランクは様々。宿泊の有無など、用途に応じて選ぶことができます。
5月に入って昼間の気温が10℃を超えるようになり、ソーシャルディスタンスが推奨される今、外出規制も緩やかに解け始めたフィンランドにおいて「森で少人数バーベキュー」は、毎日多くの人に楽しまれています。
本格的に夏に入ると今度は蚊が出始めてしまうので、涼しいうちに、明日からも隙あらば、すかさず森でソーセージを焼いていきたいと思います。