寒冷な気候の国では冬の間、湖、河川、海などで水面が数ヶ月の間、凍結する現象が起きます。
今年だとフィンランド東部では、湖が12月頭から徐々に凍り始めました。溶け出すのは4月始めになりそうな感じです。
川や海の場合は湖と違い、流れがあるので、湖が凍るエリアだとしても、凍結期間は一般的に短くなります。
フィンランド最長のアイスロード
フィンランドには多くの湖がありますが、毎年冬になり、湖が凍ると、運輸局の指揮の元、各地でアイスロードが開通されます。
先日、ヨエンスー市から北に車で1時間弱、ピエリネン湖上を横断するアイスロードを一度通るため、友人たちと出かけました。
動画のような快晴とはいきませんでしたが、初めてアイスロードを車で通過し、北国での経験値をまた一つ高めました。
ピエリネン湖の湖畔には、フィンランドでも有名な国立公園、Koli(コリ)が位置しています。
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下の写真は9月の風景です。


フィンランドは湖がたくさん繋がっているので定義がわかりづらいですが、ピエリネン湖はフィンランドで4番目に大きいとされる、結構大きな湖です。
ここで冬の間に開通するアイスロードは、全長7kmでフィンランドでは最長とか。実際に上を走ってみると信号や渋滞が一切ないので、すぐ渡り切れてしまいました。

「アイスロードを走ろう!」と家を出たものの、家の近くにも凍った川や湖はあるので、湖上をドライブしている時は正直そこまで興奮しませんでした。
しかし、ある事実を知っていたので、心の中にロマンを忘れませんでした。
その事実とは「アイスロードによって2地点(集落)間の移動がなんと60km短縮される」ということです。
ピエリネン湖が非常に大きい為、対岸の街に行くには通常ぐるっと回らなければなりません。
例えば、東側の街・Lieksa(リエクサ)から、西側・コリ国立公園に遊びに行く場合、通常では湖の下をぐるーっと周らないといけません。しかし、アイスロードが開通している間は気軽に行けるようになります。
その為、地元の人たちも冬に気温がきちんと下がって、アイスロードが例年通り、開通することを気にかけていると言います。
RPGゲームみたいで、無性に子供心をくすぐられます。
安全第一で生活を支える道

運輸局が管理するアイスロードは、開放時には公道と見なされ、グーグルマップでもちゃんと表示されます。
道路開通の条件は、湖に張った氷が40cm以上の厚さを持つことです。
毎年この条件を満たした段階で、アイスロードの開通が決定され、暖かくなってきて氷が40cmよりも薄くなれば、危険と判断して閉鎖となります。
開通期間中は、毎日路面上の雪をトラクターが除雪し、スリップする危険性を下げる努力が行われます。
アイスロード上では、安全上のルールがいくつかあります。(引用元:Wikipedia)
- 3tの重量制限(氷の厚さに応じて引き上げ)
- 速度制限 50km/h
- 同一方向へ走る車両は、50m以上間隔を空ける
- 追い越し・停車禁止
僕が通行した際は、それなりに両岸から車が走っており、普通に周辺の公道を走っている交通量と変わりませんでした。

フィンランドの平坦な地形と、広大な自然の見晴らしには、もう随分と慣れましたが、改めてこの写真を見ると本当に視野いっぱい何もありませんね。
死ぬまでにまだまだ色々な景色を見ていきたい、と改めて感じました。