先日、ブラジル人の友達と Forestbathing (Forest-bathing) の話になった時、それが日本語の “森林浴” に訳を与えた言葉だと知ってハッとしました。
日本人である僕は、森林浴という言葉自体もその効能についても小さい頃から当たり前のように知っていたからです。
また、フィンランドを始め、ドイツ、カナダといった森林政策において比較的成功している国ではなく、この概念と研究が日本から世界に広まったという事実を知って、誇らしく感じました。

森林浴の生みの親
太古の昔から人間は、安らぎを求めて意図的に自然の中に入っていく行為を行ってきました。
しかし、1982年に日本の林野庁がその行為を “森林浴” と命名すると、たちまち森林のセラピー的効能に注目が集まるようになり、今日までに世界中で関連した研究が数々行われてきました。
ある行為や現象に一旦 “うまい言葉” が与えられると、たちまち「流行語」として使用され、そのコンセプトがさらに世の中に広まっていく。
「森の中に浸かり心身を癒す」 という林野庁の提唱はまさに人々の感覚に “しっくりくる” ものだったのです。
森林浴が一世を風靡する日は近い
デジタル化が進み続け、常にオンラインであることが求められる現代。
同時に都市化が進行しているから、外出すればどこも人混み。
休まる時間も場所もあまりないから身も心も疲れちゃう。
それは東京だけではなくて、世界中のどこの都市も同じで、日々の都市生活に疲れた人々はそれを癒してくれるものを常に求めています。
そんな中、実は欧米では今 “Shinrinyoku(森林浴)” の流行がじわじわときているんです。
日本で “ヒュッゲ” や “マインドフルネス” が近年流行したのと同じ流れで、欧米では日本特有の概念として “Ikigai (生きがい)” と “Zen (禅)” が流行して久しいのですが、これらに続き今年 (2019年) から徐々に注目を集めているのが、Shinrinyoku なんです。
言葉とアイディアが広まってきている直接的な要因には、昨年 (2018年)に”Forestbathing”を紹介する書籍が英語圏を中心に次々と出版され、賞を取るくらい売れていることがあるようです。
日本の森林セラピーの権威である千葉大学の宮崎教授の本も、2018年にいくつかの主要言語で出版されています。
Shinrin Yoku: The Japanese Art of Forest Bathing
日本では近年ラフティングとかグランピングみたいなエコツーリズム市場も拡大していますし、そろそろ日本のメディアがこの欧米の潮流を日本人に伝え始めて、日本でも “森林浴” が逆輸入的に大流行する未来は近いと思います。

時代の反動でもっと「ゆっくり」生きたいと思っている人は世界中で増えていると思います。
このSlowlandで僕が伝えたいコアなメッセージにぴったり重なりますが、こんな時代でも「肩の力を抜いてマイペースに」生きていいと僕は信じて止みません。
せっかく生まれてこれたんだから、堂々とマイウェイをいきましょう。
全部のことをあなたが知らなくてもいいし、全部一人でできなくてもいい。
たまには森へ出掛けてリフレッシュしてみてはいかがでしょうか。
それが大変であれば、近所の公園で木々に囲まれて少しのんびりしてみてくださいね。