1970年に37億人だった人口は、2020年に78億人にまで増えました。長い人類史の中で見ると、この50年の人口増加の加速は異常値です。
今50歳以上の人がすでに生まれていた時期から、世界人口が2倍以上に増えたと考えたら、結構衝撃的ではないでしょうか。
地球上の人類が急速に増加したことで、人類を含む生態系はどのように変化したのでしょうか。
今回は3つの統計を取り上げることで、認識を深めていきましょう。
野生生物が3分の2以上減少
WWF(世界自然保護基金)が発表した統計によれば、1970年〜2016年の間で、地球上の野生生物の個体数が2/3減少したと言われています。
世界人口の急増と共に、人間は食料生産の為に多くの森林を切り開いたり、海で魚の乱獲をしたり、工業化によって大気汚染を引き起こすなど、あらゆる側面から他の生物の命や暮らしを脅威に晒してきました。
50年前と言うと僕の親が子供だった頃。江戸時代とかそんな前の話ではなく、つい最近です。「野生生物の2/3が減少した」とは、にわかに信じがたい事実です。
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アマゾンの森林面積が17%消失
これまた過去50年での変化です。こちらもリアリティが湧かないと思うのでその凄まじさを少し例えてみます。
アマゾンの森林面積は大体550万㎢です。その17%が消失したと言うことなので、消失分はおよそ93.5万㎢と計算できます。
日本の面積は38万㎢なので、つまり、過去50年にアマゾンで消失した森林面積は軽く日本全域の約2.5倍ということになります。
森林減少は世界でも特に南アメリカ、アフリカ、アジアの熱帯雨林で顕著で、この傾向は今も加速しています。
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野生生物 4%、人間 36%、家畜 60%
それじゃあ、アマゾンで消失した森林は何になったのか?ここまでの話を全て繋げます。
アマゾンの消失した森林のほとんどは、牧場(放牧地)になりました。つまり、増加した人間の食糧増産の為に家畜のニーズが増え、森林を牧場に変えてきたのです。
ガーディアン紙が2018年に伝えた統計によれば、現在地球上に生息する哺乳類の内、野生動物が4%、人間が36%、家畜(牛や豚など)が60%を占めているといいます。
野生生物は人間の活動による生態系の変容により、信じられないほどの速度で現象している一方、人間が食す生き物である家畜は人間と共に増加を続けているのです。
人間36%に対して、家畜が60%と人間の2倍近いことには少し驚きませんでしたか?
地球には何十億年という長い長い歴史があるのにも関わらず、人間が産業革命以降(18世紀~19世紀)に地球の生態系にもたらしてきた影響は甚大であり
その中でも人口の伸びが著しい過去半世紀では特に、私たちは地球上の生命の在り方をは変えてきてしまったのです。
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今後変わらずこの傾向のまま生態系を変容していくのか、あるいは暮らし方を見直すことで生態系の本来のバランスを取り戻そうとするのか。地球の未来は全て、私たち人間の選択にかかっています。